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バニラと母乳


🍦最近、嗅いでいる香りによってモノの動き方が違って見える、という不思議な現象が話題になりました。

「レモンの香りを嗅いでいる時はモノの動きがゆっくりに見える。バニラの香りを嗅いでいる時はモノの動きが速く見える」という実験報告です。

これは、本来別々とされる異なる感覚が互いに影響を及ぼしあう現象=「クロスモーダル現象」と呼ばれます。すっきりリフレッシュする印象のレモンと、甘く柔らかな印象のバニラ。

脳の動きはそうした両者のイメージとは逆の結果となり、意外に感じた方も多いのではないでしょうか。

尤も、「レモン香は脳の働きが早くなるので映像が遅く感じる、バニラ香は脳が減速するので相対的にモノが速く見える」とも言えるワケで、そう考えれば納得できますね。

なんだか、相対性理論みたいです。


🍦バニラの香りは万人に好まれます。

バニラビーンズはマダガスカル、レユニオン島、インドネシア、タヒチなどから輸出されています。

タヒチ産はヘリオトロープ香を伴う一風変わったバニラです。

勿論、天然のバニラビーンズ自体はたいへん高価ですので、世の中のバニラ製品の9割以上は合成バニリンが使われています。



🍦人がバニラを好む理由のひとつに、バニラの特徴成分のバニリンの分子骨格がアドレナリンやドーパミンと似た形をしているからだ、とする説があります。

また、「人は栄養素として甘味料が好きだからバニラが好き」という説もあります。しかし、バニラは舐めると苦いモノで甘味料とは言えませんから、この説には否定的な意見もあります。


🍦近年、有力視されているのは「バニラは母乳を連想させる香りであり、大人になってもそれが嗜好に影響を及ぼしている」とする説です。これは、乳児による嗜好実験でその一端が確認されています。

前述の天然バニラビーンズの商社さん達は皆さん、なぜか母乳説がお気に入りのようです。

「みんな、ママさんのおっぱいの味が忘れられんのさ!ウチのバニラはそういう感じを総合評価して買い付けてるから、どのグレードも凄いバニラなんだ!」などとセールストークしてきます。

商社さん、母乳の味を憶えているというのもスゴイですね。


🍦そうした理由からか、バニラの香りは人をリラックスさせる効果があります。

母乳の香りとバニラの香り、どちらがリラックス効果が高いか、乳幼児で研究した人がいます。

結果は母乳の勝ちでした。まあ、乳児ですからね・・・バニラには分が悪い勝負でした。


🍦バニラと母乳とでは香気成分に化学的共通性がほぼありません。しかし、香りのタイプを注意深く分解/分類すると、いくつもの共通した香り特徴が浮かび上がります。

 レボーンはにおい成分だけにとらわれずに、におい特徴そのものに着目した解析が可能です。特徴通常の化学分析では解らないこうした様々な香りの不思議を、調香師による「分解型プロファイリング法」と「においセンサー」によって解き明かしていく「香りのコンサルティング」も行っています。


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