top of page
検索

嗅覚検査ってなんだろう?

更新日:2022年11月10日

こんにちは!レボーンの澤田です。


私は臭気判定士として業務をしていますが、臭気判定士と嗅覚検査は切っても切り離せない関係にあります。


一般の方が嗅覚検査を受けることは非常にまれでしたが、新型コロナウイルスが猛威をふるいはじめ、嗅覚障害が注目されはじめたことにより、『嗅覚検査』という用語自体を耳にすることも増えてきました。


どこで受けられるのだろう?何が分かるのだろう?と気にされている方も多いかと思います。

そこで今回は、嗅覚検査について解説します!





嗅覚検査とは


嗅覚検査には様々な手法があり、手法によって検査結果も異なります。

私たち臭気判定士がよく用いる検査は『パネル選定用基準臭』を用いた嗅覚検査になります。この嗅覚検査に合格しないと、臭気判定士になることができません。


そのようなお話をすると「じゃあ、澤田さんはとても鼻がいいんですね!」とよく言われます。

鼻のテストを突破して臭気判定士になる、とだけ聞くと、そう思いますよね。


しかし、実際には私の嗅覚は一般人並みの嗅覚です。


これはなぜかというと、『パネル選定用基準臭』を用いた嗅覚検査は、嗅覚が特別優れているかを検査するものではなく、一般的な嗅覚を持ち合わせているかを検査するためのものだからです。


臭気判定士になるための嗅覚検査は、一般人の約80%の方が合格する試験になっています。



パネル選定用基準臭とは





そもそも『パネル選定用基準臭』とはなんなのでしょうか。


鼻科領域で嗅覚障害の程度を診断するために開発された『嗅覚測定用基準臭(T&Tオルファクトメーター)』という診断薬があります。


『嗅覚測定用基準臭』は、以下の選定条件に基づき選定されました。


  • それぞれのにおいはお互いに明確に区別できること

  • においとして単純で、多くの人にわかりやすいこと

  • においの量や強度が安定していて、時間とともに変化しないこと

  • 天然物は多くの場合不安定であるため、合成化合物とする


嗅覚測定用基準臭をもとにして、悪臭公害測定パネルの嗅覚検査用に一部改訂されたものが『パネル選定用基準臭』です。


具体的には、以下の5種類のにおいになります。


  1. β-フェニルエチルアルコール:バラの花のようなにおい

  2. メチルシクロペンテノロン:カラメルのにおい

  3. イソ吉草酸:靴下の蒸れたようなにおい

  4. γ-ウンデカラクトン:桃のようなにおい

  5. スカトール:糞のようなにおい



嗅覚検査の流れ


『パネル選定用基準臭』を用いた嗅覚検査の方法について解説します。


嗅覚検査では『5-2法』と呼ばれる方法が用いられます。

1種類のにおいに対して5枚1セットのにおい紙が提示され、そのうちの2枚ににおいがついており、残り3枚は無臭の液がついています。



『パネル選定用基準臭』の5種類のにおいについて、この2枚を正確に当てなければなりません。

※なお、1種類だけ謝った回答をした場合には、その後同じにおい種で2度、5-2法再検査をして正解すれば合格とみなすというルールもあります。


やり方は非常にシンプルですが、実施するとなると運用上コツが必要な部分も多々あります。


例えば、におい紙への基準臭の浸し方。

5枚のうち2枚は基準臭、残り3枚は無臭液に浸すことになります。

検査を受けられる方の中には、この5枚のにおい紙の液面の差を見て、正解を判断しようとする方もいるので、他の要因で回答されることがないよう、検査実施者は細心の注意を払う必要があります。



嗅覚検査を受けるには


臭気判定士になるために嗅覚検査を受けたい場合は、「嗅覚検査機関」に嗅覚検査を申し込むこととなります。


臭気判定士の試験は、例年11月に実施されますが、試験直後は大変混雑するため、早めの受検をおすすめします。


筆記試験の先に嗅覚検査を受けておきたいところですが、検査結果の有効期間が1年間のため、筆記試験の手ごたえを確認しないと無駄になる可能性もあり、なかなか判断が難しいところですよね(笑)


私は筆記試験直後に予約をしましたが、最短で1月受検といわれ、驚いた記憶があります。


一般の方が自身の体調管理のために嗅覚検査を受けたい場合は、基本的には病院で検査をしていただくことになるかと思います。


しかし、「自分の嗅覚って普通なのかな」「試しに受けてみたいな」という気持ちで検査をするには、どちらも少しハードルが高いかもしれません。



嗅覚をコントロールする未来


自分の嗅覚って正常なのかな?と思った際に、確かめる手段が少ないのが現状です。


将来、手元でにおいをコントロールするような装置が開発され、自分の嗅覚が正常か気になったときに気軽にチェックしたり、自分の苦手な(嗅ぎ分けにくい)においを確かめたりすることができるようになると、嗅覚がより身近なものに感じられるかと思います。


そのように、誰もが嗅覚を身近に感じ、自分の生活に取り入れていけるような文化をつくるため、レボーンは日々においソリューションの開発を続けています。


「においでこんなことができたらいいな」

「においをこんなふうにつかってみたい」


などの夢がありましたら、ぜひレボーンにご共有ください!



ご相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせください!



bottom of page